年収1200万円の現実 ~高収入世帯の負担と可処分所得の実態考える~

序章: 高収入=余裕ではない現実

「年収1200万円」と聞くと、多くの人は「裕福」「余裕がある」と感じるかもしれません。しかし、実際には税や社会保険料の負担が重く、さらに子育て世帯であれば所得制限による補助の対象外となるケースが多く、家計が逼迫する現実があります。本記事では、年収1200万円の世帯がどのような税・社会保険料負担を抱え、補助制度でどのような壁に直面するのかを詳しく解説します。


年収1,200万円の子育て世帯が直面する負担と課題

1. 年収1,200万円世帯の現状

年収1,200万円というと、日本国内の世帯収入としては上位に位置します。しかし、この層が実際にどれだけ「自由に使えるお金」を持っているかは、税金や社会保険料、子育てに関わる負担を考えると大きく変わります。近年では、児童手当の所得制限撤廃などが行われましたが、それでも手取り額に余裕があるとは言い難い状況が続いています。


2. 年収1,200万円の場合の税・社会保険料の負担額

(1) 所得税の計算

所得税率は、課税所得に応じて段階的に設定されています。課税所得700万円~900万円の場合、税率は**23%**です。

  • 年収1,200万円の場合の課税所得の計算例
    • 年収:1,200万円
    • 基礎控除:48万円
    • 扶養控除(子ども3人):114万円
    • 社会保険料控除(労使折半後で15%の半分):約90万円
    • その他控除(配偶者控除など仮定):38万円
    • 控除額合計:290万円程度
    • 課税所得:1,200万円 – 290万円 = 910万円
  • 所得税額
    • 910万円 × 23% – 636,000円 = 約1,446,400円
(2) 住民税の計算

住民税は、課税所得の10%が課されます。

  • 計算:910万円 × 10% = 91万円
(3) 社会保険料の計算(労使折半)

社会保険料率はおおよそ**15%ですが、労使折半により従業員の負担率は7.5%**となります。

  • 計算:1,200万円 × 7.5% = 90万円
(4) 手取り収入の試算

以上をもとに手取り収入を算出します。

  • 年収1,200万円 – 所得税(144万円) – 住民税(91万円) – 社会保険料(90万円) = 約875万円

3. 児童手当の所得制限撤廃の影響

2024年以降、児童手当における所得制限が撤廃されました。これにより、年収1,200万円以上の家庭も通常の支給額が適用されます。

児童手当の支給額
  • 3歳未満:15,000円/月
  • 3歳~小学校修了前:10,000円/月(第1子、第2子)、15,000円/月(第3子以降)
  • 中学生:10,000円/月

例として、子どもが3人いる場合:

  • 3歳未満1人、3歳~小学校修了前2人の場合:
    15,000円 + 10,000円 + 15,000円 = 40,000円/月(48万円/年)

4. 年収1,200万円世帯の課題

(1) 高い税・社会保険料負担

税金と社会保険料で年間約325万円が控除されることが負担感の主な要因です。これにより、手取り額が大きく減少します。

(2) 所得制限による補助金の制限

児童手当の所得制限撤廃は進展ですが、他の所得制限付き補助金(例:保育料補助や教育費補助)は未だに制限対象となることが多いです。

(3) 物価上昇やコストプッシュ型インフレの影響

インフレ環境下で、生活必需品や教育費のコストが増大し、可処分所得がさらに減少しています。


5. 今後の政策提言

(1) 税制改革による負担軽減
  • 所得税の段階的緩和:特に中間層の負担を軽減するため、税率を調整する案が求められます。
(2) 社会保険料の見直し
  • 社会保険料率の労使間の負担割合や徴収方法を再検討し、労働者の負担軽減を図るべきです。
(3) 子育て支援のさらなる充実
  • 所得制限を撤廃した児童手当に加え、教育費の補助や住宅補助の拡充が求められます。

6. 結論

年収1,200万円という高収入層であっても、税金や社会保険料、インフレの影響により、実際の可処分所得は大きく制約されています。今後、持続可能な社会の構築に向けて、税制や社会保険の見直し、さらなる子育て支援の充実が不可欠です。国民全体の生活向上を目指し、政策の改革を進めるべきです。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です